車の性能の進化とともに、求められる高度な修理技術。たとえば、アウディでは「先進の技術」という言葉のもと、安全性を重視した車体に数々の先進技術を取り入れている。しかし、近年では機能の進化だけでなく、車体を構成する素材の進化も著しく、修理後も同じ安全性、性能を保つためには、メカニックも高度な技術力と情報の活用が不可欠となった。YASでは、より確実な修理を行うために、輸入車各メーカーの認定工場制度に参画。今回は、ドイツにてアウディAGが行う研修を2週間受け、技術認定をされた3名が集まり、修理技術や認定工場制度の重要性などについて語った。
各国からメカニックが集まり、
さらに完璧な修理技術を習得していく。
倉又:今、ほとんどの輸入車メーカーでは認定工場のみが修理情報を得られたり、部品を調達できるようになっています。外見だけの修理はどの工場でもできますが、メーカーの水準までしっかり復元できるのは認定工場でないとなかなか難しい状況になってきていますね。
我々が技術認定されるために、ドイツのネッカースウルムで受けてきたアルミニウムボディトレーニングなどは、まさにそこでなければ得られない技術。専用ツールの正しい使い方などをみっちり勉強してきました。日本でずっとこの仕事をしてきましたが、特殊なリベッターの使い方や指定の下処理時に使用するケミカル用品についてなど、行かないと知り得ない情報がたくさんあり、かなり勉強になりました。
石田:研修では、最初の1週間は溶接の資格を取るため準備期間。月曜日~木曜日は朝から晩まで2畳くらいに仕切られた溶接機の置かれた個室スペースに入って、ひたすら溶接作業をするんです。
ドイツ語と英語を使った溶接の座学もあります。通訳の人がついてくれて座学の試験も受けました。その後金曜日に本番の溶接の試験。それにパスしてから、アウディのアルミニウムの直し方などの講義に入るんです。
倉又:伊藤:受講者はドイツ、クロアチア、ウクライナ、イタリアなど各国から来ていましたね。全員が一定のレベルになるまで技術を習得していたので、この溶接の資格を取ったら、世界各国どこのアウディに行っても仕事ができると思いました。
石田:2週間の研修後、各国工場の有資格者に向けてこんな言葉を言われたのです。「君たちは、今回この溶接の資格を取ったけれどまだ初心者と同じ。これから各自自分の工場に行って練習して、ベテランになっていってくれ。君たちの工場を認定する限りは、今後さらに努力してくれることを信じている」と。アウディの車に対する強いこだわりを感じました。